1stアルバム『残像のブーケ』に寄せて

アルバムに寄せられた感想やメッセージをご紹介!

守るものも思い出も現状も全て詰め込んだ一作 (佐藤満春)

大森元気(残像のブーケ)
1stアルバム「残像のブーケ」を聴いて。

僕は残像カフェの大ファンだ。
お笑いをはじめ仕事も何もない頃から単独ライブの幕間でかけ、
自宅でかけ僕の人生は大好きな音楽と共にあり、そこに「残像カフェ」も常にそこにあったと思う。
すごく身勝手なことを言ってしまうと売れてるとか売れてないとかはもう僕はどっちでもよくて
とにかく彼が音楽を続けてくれたらそれでいいとすら思っていて。
世の中的に売れていくものと僕がいいなと思うものがイコールではないことを
この数十年自分で痛感しているから。
自分が知らないいいものがまだまだこの世には溢れているのを知っているのです。
(いや、もちろん売れたほうがいいのはわかってるけども)
いいものはいい。そんな一言に尽きる。

僕は一応、夢であるラジオDJになって僕がみつけた音楽を電波に乗せて発信しています。
それが唯一できる音楽とミュージシャンの皆さんへの恩返しなので。
ずっと助けられてきたのは間違いないから。
大森元気の音楽は間違いなく僕の人生の助けになりました。
この度、そんな彼から1stアルバム完成の連絡をいただいた。
制作に随分時間がかかったのもすごく納得できるし、しっかり今の生き様で音楽を制作している様子がたくましく、本当に嬉しかった。そしてもちろんめちゃくめちゃかっこよかった!

守るものも思い出も現状も全て詰め込んだ一作。
次がいつになるかわからないけどこれまでの曲たちと共に
このアルバムもずっとずっと聴かせてもらいます。

こんな関係もロックンロールだと言ったら笑いますか?
また、お互いいいもの作っていきましょう!
最高でした、いい音楽をありがとう!

佐藤満春(お笑い芸人どきどきキャンプ/放送作家)

大森くん、おかえりなさい(庄司信也)


大森くん、おかえりなさい。なんだか、そんなことを言いたくなるレコードだった。

もしかしたら、大森くんと連絡を取り合ったのが久しぶりだったからかもしれない。


僕と大森くんは同い年だから、あの頃より少しだけ大人になった時期を経て、
そしてまた子供に戻ってしまっているからかもしれない。


結局我らはそんなことばかり繰り返して、好きな場所に何回でも戻ってくる。

瞼に微かに残る、あの残像を手掛かりにして。


ずっと情け無い男の歌を、馬鹿な僕たちの為に、歌い続けて、側に寄り添って欲しいんだ。

庄司信也 (クリエーティブ・ディレクター) 

100回ぐらい言ってるけど(行 達也)

100回ぐらい言ってるけど自分は大森くんの書くメロディーが好きで、ああいう曲が書きたいと思って、またバンドを始めた。そして今回「恋のはじめの夜の長さよ」のようなまったくアップデートされてない曲を聴かされたんだけど、やっぱりぜんぜん敵わないなと思ってちょっと凹んだ。


行 達也(元mona recordsの人)


これ、“大森さんの名刺がわりの一枚”ってやつ、出来ちゃったんじゃない!?(岡田梨沙)

大森さん、アルバム完成、本当におめでとう。

そして、これ、“大森さんの名刺がわりの一枚”ってやつ、出来ちゃったんじゃない!?


私が出会った時から今でも、やはり大森元気はセンチメンタルで、時にはヒリヒリしてるけど、時には愛に溢れてて。

音楽への情熱も、時には触れないくらい熱いけど、時にはものすごく俯瞰で見る冷静な時もあって。


そんな大森さんがまるっとアルバムに込められてるなぁと、そんなことを感じました。


全曲、曲が良いのは言うまでもなく!

「boys&girls」と「涙が出ちゃうよ」は15年前くらいに一緒にやっていたユニットの時から私もよく知っているので、音源化され、さらに参加させてもらって、とても感慨深いです。

「ブランケット・ブルース」は大森さんがライブで歌ってる顔が目に浮かぶような温度が高い曲。

こういう曲のドラムを叩かせてもらえて、嬉しかったです。

大森さんとライブすると絶対熱くなっちゃうんだ。

また一緒にライブしましょうね。


大森さんの新たなスタートを感じる素晴らしいアルバム!

たくさんの人に届きますように!


岡田梨沙 / RISA COOPER

あれは2002年頃の話です​(中村佑介)

あれは2002年頃の話です。雨の日も風の日も、友達が帰ってしまっても、来る日も来る日も喫茶店の窓際の席で、届かないあの子との想い出を日記に綴っていた青年がいたことをよく覚えています。あれからちょうど20年。久々にその喫茶店に訪れたのですが、もちろんいつもの席に彼の姿はありませんでした。聞く所によると、現在の彼は少し遠い町で暮らしており、あの頃の情景ではなく今日の生活を見つめ、あの子ではなく誰でもないあなたへの、日記ではなく手紙をしたためるようになったそうです。そう言って、喫茶店のマスターはうれしそうに、その12通の花束を彼のいた窓際の花瓶へと飾ったのでした。

イラストレーター 中村佑介

やっぱり大森くんは4月の妖精だった(タバティ)

いくつもの季節を越えて、いよいよ春の歓喜を掻き鳴らした、パステル色の残像のブーケ。

ファーストアルバムの完成、本当におめでとう!


やっぱり大森くんは4月の妖精だったんだね!

この歳でも僕の胸はキュンとなりました(しみじみ…)。

タバティ(ビューティフルハミングバード)

ピアニッシモで弾いたときがいちばん人の心に入り込めるように(青木慶則)

1曲目のウィスパーな歌声がグッと来た。ピアノはピアニッシモで弾いたときがいちばん人の心に入り込めるように。その曲の「気づけば家族ができたよ」という歌詞にも、彼とレーベルメイトだったときからの20年近い歳月を感じて、これまたグッと。

青木慶則(ex.HARCO)

いろんな人の存在や生活や青春の残像が見えてくるみたいで (中川理沙)

いつまでも消えずにつきまとってくるのに、形がなくてつかめなくて言葉だけじゃ足りなくて、ふわふわと漂っている残像たちが音になってゆくのが大好きなんだった。だから音楽が作りたい。
大森さんの歌を聴くといろんな人の存在や生活や青春の残像が見えてくるみたいで、なんだかすごく胸がしめつけられるのです。

優しい目線も広くて大きな歌も、今の自分には刺さりすぎて泣いてしまう。
やっぱり誰かの生活を彩る優しいポップスに憧れるなぁ、わたしも作りたいなぁと強く思いました。
残像のブーケ、届けてくれてありがとうございます。これ以上ないほどぴったりで、本当に素敵な名前だなぁと思います。

 中川理沙(ザ・なつやすみバンド、うつくしきひかり、ユカリサ)

初めて出会った残像カフェの時から(寺尾ブッタ)

初めて出会った残像カフェの時からずっと素晴らしいシンガーソングライター。彼が歌う風景と情景はとても活き活きとしていて青春そのもの。

そしてまた春のこの時期に新作が聴けるというのは、なによりもありがたいこと。とても丁寧に作られた名作です。たくさんの人に聴いて欲しいです。

寺尾ブッタ/青山月見ル君想フ


彼はいつももがいていて、そして美しい(青柳崇)

大森元気は死にものぐるいだ。
彼はいつももがいていて、そして美しい。
僕は残像のブーケのこのアルバムに溢れる軽やかなメロディ、曲調、僕と同い年の大森くんの年齢のわりに若々しい声や歌詞のあらゆるところにその美しさを見つけるのだ。

"あきが来ることを多分知っていた
知っていながら何も出来ぬことも"
この歌詞からは同世代のバンドマンとして、人間として強く反応せずはいられない。
そう、人生にも季節があり、かつて春や夏を過ごした僕らには秋も必ずやってくるのだ。
でも大森くんは彼の元に再び春を引きずり寄せることに成功した。
それがこの作品だと思う。
彼がこの数年の間、死にものぐるいでものを作り続けた果てに訪れた春のような作品だ。
咲いたたくさんの花を束ねてブーケにした、と言ったら例えが安易すぎるかもしれないが"残像のブーケ"というアーティスト名は言い得て妙かもしれないと思った。

大森くん、最高にかっこいいデビューアルバムだと思います、どうかここから広い世界に飛び立って。

青柳崇(ビイドロ、はなし、obaketachi)

悲しい時代にあっても花は開くように(松井泉)

大森さんのソロアルバムが出来た。

それは悲しい時代にあっても花は開くように、大森さんにとっては、曲を編み、歌う事なのかも…と。

十二篇の曲達は仲間と丁寧に一つにまとめられ、目には見えずともブーケの様に我々の手元に届く…。

とか言っちゃいたくなる位、

素敵なアルバムです!

この春のBGM No.1 !!!

松井泉(Percussion / ex-bonobos / YOUR SONG IS GOOD / ikanimo)

大森くんとは長い間 会えてないけどアルバム聴いて わかったよ(木村ひさし)

どの曲も素敵だね。一番好きなのは「恋のはじめの夜の長さよ」です。大森くんとは長い間 会えてないけどアルバム聴いて わかったよ、ずっと幸せだったんだね。身近に幸せたくさん見つけたんだね。素敵なアルバムありがとう、大切にするよ。

木村ひさし (Clingon)

全曲シングルA面か!?ってくらい(伊藤健太)

全曲シングルA面か!?っていうくらいの充実ぶりじゃないですか!
かつてと変わらぬ大森くんのエモーショナルな歌声(今で言う「エモい」感じ)、それを包み込むバンドメンバーの本当に伸び伸びとした演奏、全身で浴びさせて頂きました。月日を重ねてもちゃんとエヴァーグリーンな世界を描けている大森くんのピュアな音楽的衝動、心より尊敬します。


伊藤健太 (ベーシスト)

大森くんの歌は、あの頃と変わらず、まぶしい。(シガキマサキ)

 記憶を辿れば、大森くんとの歌の旅。もうあれから15年くらい経つのか。早いね。
 各々の拠点としていた熊本と東京から、京都・浜松・福岡・鹿児島などの方々へ。共に歌を歌い、酒を飲みながら温泉に浸かりながらギターを弾きながら、道中でいろいろと語りあいましたな。あの旅は本当に楽しかった。
 久々の便りと共に届いた12編の物語。ひとつひとつが温かく、きらりと眩しい。
 時は流れ、それぞれの道の上で「ぼくの愛する暮らし」の中で、暮らしを大切に守りながら生きているのだけれど、歌詞にあるように、夢は形を変えて迫ってくるね〜。

 大森くん、この12曲に背中を押されて僕もまた歌いたくなったよ。またいつの日かギターと共に旅しましょう。さあ仕事も音楽も頑張るか。素晴らしいアルバムをありがとう。

シガキマサキ(特別支援学校教諭・シンガーソングライター)

こんな大森元気を待っていた(長坂雅司)

こんな大森元気を待っていた人は多いんじゃないでしょうか?
僕もその1人です。

華やぐ街、不安、選択、過去、希望。。
春の匂いを纏った歌たち。
否応なしに胸を締めつけられます。

長坂雅司 (夢見る港、noom、ex.chikisounds)

「群青色」、名曲です。(中村ジョー)

僕も大好きな過去の懐かしいフォークソング、ニューミュージック。

その香りを纏いつつ、90年代をロック道を通過して辿り着いた、これはまさに大森君の「今」のポップソング集ですね。

キュンキュンしたり切なくなったり悲しくなったり嬉しくなったり、素敵なアルバムありがとうございます。

「群青色」、名曲です。

中村ジョー(中村ジョー&イーストウッズ、ex.ザ・ハッピーズ)

千切れるか千切れないか 僕が憧れる声がかわらずそこにありました(倉谷和宏)

フィリップ・プティ

今は無きワールドトレードセンターのツインタワー間を綱渡りしたことで有名ですが、それには6年間の念密な計画と準備があったそうです。

大森元気の新しいアルバム残像のブーケを聴きました。

千切れるか千切れないか

僕が憧れる

声がかわらず

そこにありました。

数十回の春を超えて

深みを増した

円熟の声と十二曲

フィリップ・プティの綱渡りのごとく、、

軽い気持ちで聴いたら腰を抜かしますよ。

あ、

軽い気持ちで聴いて腰を抜かしてください!


メランコリー好きだなぁ 弦にメロトロンってサイケデリックポップ!


旭荘201 倉谷和宏

friendsの一員として(中嶋佑樹)

「残像カフェ」や「花と路地」といった素晴らしいグループを作ってきた大森元気による新プロジェクト「残像のブーケ」としてのデビュー作が堂々完成!わが家へも届いた。


The Beach BoysのMeant for Youを思わせる美しい多重録音コーラスのとても短いタイトル曲から始まる今作は、ひょっとすると大森くんがfriendsという単語をテーマに選んだからなのかも知れない(Meant for YouはThe Beach Boysの傑作アルバム『Friends』の冒頭曲である)。

続く2曲目「ぼくの愛する暮らし」を聴けば早速、その通りだと言わんばかりに、彼の周りの友人達がたくさん参加したとても賑やかな印象の曲が始まる。そこではまるで、持っていた個人主義の変化を容認し、周りの人間達と次のシーズンを共に生きていこうではないか!という覚悟の声に聞こえる。 だから、どうしても"あたま"にfriendsが浮かんでしまうのだ。


新しいものに感じる大いなる期待と否定できない違和感、もう戻れない慣れ親しんだものや人々との時間や記憶。

戸惑いながらも前に大きなステップを踏み出した彼の、残酷なほど正直な心の一部が見事切り取られて歌に転化している。この作品の誕生を大変嬉しく思う。おめでとう!


friendsの一員として、この作品に参加させてもらった感謝を込めて。

中嶋佑樹 (SPIRO)

これまでの人生がふわりと、でも密度濃く、桜色にパックされている(うちだあやこ)

元気ちゃんは日頃はふわふわ優しいけど、自分の音楽活動には妥協なくストイックなイメージがあるので、初めて一緒にスタジオに入る時は少しドキドキした。でも、本当に楽しい時間だった。だって、何より音楽がいいんだもん。歌いながら、この曲早く音源出して欲しいな〜と思っていたから、本当に嬉しいです。


良い感じに経験を重ねた大森元気の、これまでの人生がふわりと、でも密度濃く、桜色にパックされている感じ。そして油断すると涙腺にきます。特にメランコリーがお気に入りで、コーラスしながら頭の中に自然と女の子のイメージが浮かんでて、個人的にはそれを頑張って演じてました。伝われ〜


本当に本当に完成おめでとう!そしてこれからも期待してます。また一緒に歌おうね。


うちだあやこ(dodo)

珠玉の一枚(凹川拓真)

珠玉の一枚をありがとうございました。
酸味にも甘味にも芳醇さを感じました。
人生に寄り添う一枚となりそうです。

凹川拓真(みどりかわさん)

キャリアをあるいは人生を踏まえた上で新たな始まり(楽しいよふかし)

残像のブーケを通して聴いた。
大森さんのキャリアをあるいは人生を踏まえた上で新たな始まりを感じさせるアルバム。

まだ終わっていない、生きている、続いているということが嬉しいと思う。それは実のところ勇気がいるし容易ではないから。

私達も参加出来てとても嬉しく思う。

楽しいよふかし 
(文責 vano)

「アルバム」っていうのがいいよね(斉藤 智)

アルバム完成おめでとう!

やっぱり同世代でこうやってアルバム発表したりして、頑張ってるの見るとうれしい。全部聴いて思ったけど、以前よりなんか肩の力が抜けた気がして、好きなものがストレートに伝わってきてすごく良かった。


あと「アルバム」っていうのがいいよね、うちら世代は。みんな今、アルバムを通してじっくり聴く、ってなかなかないと思うんだけど。昔は「この曲がLPだとA面最後の曲かー」とか考えながら聴いたもんね。アルバムの後ろの方のちょっと地味めな曲とかに、すごい好きな曲あったりして。


そんなわけで今回のアルバムの白眉は、LPだとB面一曲目(⁈)のM7での松木くんのベースライン。フェイドアウトかかってから消えぎわまでのベース最高!あと個人的に良かったのはM10かな。やっぱり大森くんってガンガンギター弾きまくってた頃がすごい好きだったから。いや、でも全部良かったよ。自分たちもアルバム作りたくなった。

こちらものんびり頑張るので、またどこかで一緒にライブやろうねー!

おチョコ  斉藤  智

【編集注】M7...「涙が出ちゃうよ」、M10...「ブランケット・ブルース」

あの頃のあんなことやこんなことなどの空気感を思い出してムズムズした心境になった(林)


曲も言葉もサウンド、アレンジも本当に丁寧に作られているというのが一聴しての印象。制作に時間を費やしたということで、それがそのままクオリティに反映されていると感じました。それでいて軽やかさや勢いが損なわれていない。バランスにも相当腐心したんでしょうね。


大森くんとは2000年代前半を駆け抜けた同世代のミュージシャン仲間 (そして確実にライバルでもあった)。このアルバムを聴いていると、個人的にあの頃のあんなことやこんなことなどの空気感を思い出してムズムズした心境になった。


年月はあっという間に過ぎ、仕事もして家族との時間も大切にしながら、これだけの妥協のない作品を作ったことに心から尊敬するし、励まされました。


林(おチョコ)

僕の予想とはちょっぴり違う新鮮な世界へ連れてってくれる(須田祐一郎)

大森くんの曲を聴いてて快感なのは、コードだったり歌詞だったり、僕の予想とはちょっぴり違う新鮮な世界へ連れてってくれることです。


たとえば、M7 「涙が出ちゃうよ」

(空っぽの気分で〜)とリフレインしてるところを歌詞を見るまでずっと(空っぽの切符で〜)と思ってて、それでまた愛おしさ倍増しちゃいましたよ!!


スダッチ(バンドマン/須田祐一郎)

5曲目の「恋は終わってしまった」めっちゃ泣けた〜!みんな聴いてください!(ヒロヒサカトー)

よし、大事なことは先に言ったので昔の話から…

記録を調べたら、大森元気さんを初めて見たのは2011年9月1日、大森さんは「花と路地」で、ぼくは「はなし」のメンバーとして渋谷7th Floorに出演したイベントでのことであった。密かにカントリー・ミュージックへの憧れを抱く27歳のぼくは、大森さん達の演奏に興奮と嫉妬を覚えたものだ。「あぁ、ぼくも好きなんです、その音楽!」でも、人見知りと変なプライドが邪魔して、子犬みたいに話しかけることはできなかった。思えばぼくの人生そんなことばかりだが、まぁそれはいい。ギタリストは誇り高き生き物なんです!


あれから11年、大森さんのニューアルバムにコメントを書く日が来るという……えぇ嬉しいなぁ!いやぁでも、人生の伏線回収は結構長期スパンなのだから、そういうこともあるだろう、うん、人生ってやっぱりたまに面白いよね、と、そう自分一人で勝手に納得しようとしながら、残像のブーケ1stアルバム『残像のブーケ』に針を落と(すようにそっと再生ボタンの三角印をクリック)した。


1曲目は「残像のブーケ」だ。美しい。この約2分の曲と短い詞がぼくの人生を少しだけ肯定してくれる気がする。あぁ、これはポップ・ミュージックなんだ。押し付けがましくない、ぼくが好きなタイプの。

そのまま聴き進めていく。懐かしい感覚だ。高校生?いや、大学2年生の秋の気持ちが蘇ってくる。いやいや、20歳の時に「ぼくの愛する暮らし」なんてわからなかったですよ、おそらく。でもこのアルバムを聴いていると、37歳のぼくが、あの毎日胸がソワソワしていた頃、HMVで買った新しいアルバムを聴きながら並木道をキョロキョロ歩いていた頃のムードに包まれてしまう。「こんな気持ちにまたなれるなんて」……あぁ恥ずかしい思い出が蘇ってしまうじゃないか……!!


このアルバムの制作には4年半かかったという。確かに3年前くらいから大森さんがアルバムを録っているという噂は耳にしていた。噂は本当だったのだ!

1枚のアルバムと向き合った4年半という時間は、大森さんのこれからの音楽にどんな素敵な影響を与えてくれるのだろう。「渾身の1stアルバム」ってよく言うけど、これは本当に渾身で賞受賞。参加メンバーの皆さんも素晴らしいお仕事をされていて、ラヴです。


大森さん、ご家族の皆さん、制作に関わった皆さん、『残像のブーケ』発売、心からおめでとうございます!


では、じっくりと後半を聴きたいので、この辺で。

井乃頭蓄音団 ヒロヒサカトー

1秒たりとも意味のない空間などない12曲(前田栄達)

残像のブーケの感想文

まず。変わらない大森さんの声聴いてあの時代を思い出す。べべチオ、ANATAKIKOU、ママレイド・ラグ、リトルハヤタ、ぱぱぼっくす、倉橋ヨエコ、、、そして主役の残像カフェ。彼らは当時「喫茶ロック」というカテゴリーの重要バンドとして知られていた。僕のやってたバンドはちょっとだけサウンドが激し目だったので縁の芯は少しずれてはいたがなにかと一緒にやった記憶がある。


その残像カフェの中心人物大森さんのめちゃくちゃ久しぶりの新作を聴かせてもらった。おお、SNSで本人が苦労話を書いてた終わりのないDIYレコーディングの成果がここにあるではないか。1秒たりとも意味のない空間などない12曲が70年代ベルウッドの未発表になったアルバムか?と思ってしまうような手触りで並ぶわ並ぶ。軽く、流して聴こうにも1曲毎にこれでもかぁ!というくらいフック(聴かせどころ)が隠してあって聴き込まされてしまう。「情報量が多いアルバム」とはまさにこんなアルバムのことをいうんだった。


少しアルバムの内容を個人的目線にて深掘りすると、「群青色」のはちみつぱい的なワルツと「ブランケット・ブルース」の人間宣言前のサニーデイサービス曽我部恵一の如し世界観が玄人好みが好みの僕には突き刺さります。あ、勿論自分的にアルバムのリードトラックだと思ってる「ぼくの愛する暮らし」のようにこれでもか、と畳み掛けるフックだらけの美メロアッパーチューンも大森節健在を証明してていいよねぇ、て感じだし、音楽プレーヤー的観点からはベースラインがビーチボーイズ風(キャロル・ケイ風か?笑)やジェームス・ジェマーソン風のモータウンビートだったりするところがたまらない。

ディレクター的観点から見るとリリース時期とかホントに上手く狙えてるというか、この季節に車なんかで流して聴いたり、郊外散歩しながらイヤホン音量大きめで聴くのにもってこいだっての。いいアルバム作ったなぁ大森さん。「残像カフェの残像」なんて微塵もない大傑作じゃないかなぁ。と僕は旅先の広島にて思うのです。

前田栄達 (higebossa SOUND SERVICE)

リアルな人との交流が少なくなっていた今こそ聴きたいアルバムなのかも(やまねみわこ)

やさしく揺れる歌声、出てくる出てくるキャッチーなフレーズ。
奇をてらわず、でも小技が効いていて心地良い方へ導いてくれる音楽。
才能が溢れちゃってます。

沢山の人が集まって生音のバンド主体で作られた本作は、コロナ禍でリアルな人との交流が少なくなっていた今こそ聴きたいアルバムなのかも。聴いていると、不思議にこのアルバムに関わった人みんなのあたたかさに包まれている気持ちになってふんわり笑顔になれます。

アルバムとしての構成も良いので「そろそろこんな曲を聴きたい」願望をちゃんと叶えてくれるのも嬉しい。さんぽしながらくり返し聴きたいな。

やまねみわこ(シンガーソングライター)

職人のそれを超えてもはや(鈴木恵) 

「ポップスに立ち向かう」のは実に勇気がいることなんです。下手をすれば出口まで見失い、これが俺のなにがしだ、みたいな亜流に進んでみたり、はたまた色々凝りすぎて曲の輝きさえ失ってしまったり、追い込めば追い込むほど迷宮に迷い込んでしまいがちなもの。


この上で、大森元気さんの新作「残像のブーケ」は類い稀なる素晴らしい作品だと思います。一曲一曲が良曲でありながら、さらにアルバム全体としても極めてヌケが良いのは、洋楽がベースにあることの証拠。そして大森さんがポップスを奏でる音楽家として、真正面から「ポップスに立ち向かった」見事なる成果なんじゃないかなって思っています。

お独りで綿密に構築するメロディー&コーラスワークの静謐感と、腕利きのミュージシャンとのセッションで創り上げる躍動感のバランスが実に心地良いので、どの曲も心の中にスッと入り込んできて、いつまでも(今も)ずっと居座っている、こんな感じです。


未だお会いしたことがない方に向かっていうのも些か失礼なのですが、大森さんはポップス職人のそれを超えてもはやポップス●人 。これからもそのクレイジーな音楽の感性で、僕を含む世界中の音楽ファンの心を何度でも鷲掴みにして下さい。

鈴木恵TRIO
鈴木恵

素敵な出会い(安田太)

また、新しい素敵な出会いをさせてもらった。

さあ、このアルバムを胸に、俺も旅にでるか…。


安田太(シンガーソングライター / ラジオパーソナリティー) 

生々しい大森元気な作品の到着も勝手に楽しみにしています(棚木竜介)

中央線快速に乗りながら残像のブーケの新作を聴いている。
皆さんご周知の通り、大森さんの作る音楽は春によく合う。否応なくセンチメンタルになるこの季節に寄り添い、ブランケットとなってくれる。

4年半の歳月をかけて制作されたこの記念すべきファーストALも多分に漏れず春爛漫であった。
僕は2曲目「ぼくの愛する暮らし」のサビを「3月のシーン」のサビに取り替え脳内再生して遊んだりしています。力強い歌詞と爽快感ある演奏が詰まったこの曲がいちばんのお気に入りです。

元来大森さんはポップス職人的な気質があると思うのですが(その大森さんも勿論好きなのですが)、作り込まない、生々しい大森元気な作品の到着も勝手に楽しみにしています。

これからもどうか紆余曲折しながら作り続けてください。僕もしぶとく頑張ります。いちファンより。

棚木竜介 (棚木竜介と図書館)

まるで「自分は今こうして暮らしているよ、君はどうだ?」と問いかける手紙(水野晋太郎)

春、山々が色付いていく景色を見るように、このアルバムの色彩はスピーカーから溢れてくる。
長い時間をかけて完成したというこの作品は瑞々しく、大森さんの暮らしそのものなのだろう。
日々をいかに丁寧に暮らし、想いをいかに真摯に響かせるか。大森さんの心に触れて僕たちは自分を省みる。
まるで「自分は今こうして暮らしているよ、君はどうだ?」と聴き手に問いかける手紙、ああそしてやっぱりその手紙に添えられた花束のようだ。

水野晋太郎(シンガーソングライター) 

先輩、激しく嫉妬するよ(柳沢耕平)

素晴らしいよ
先輩
激しく嫉妬するよ

コメントは、
今からゆっくり時間をかけて、考えます。

柳沢耕平(ウイリアム)

ここだけの話、音楽って、けっこー重要ですよね(相子鳶魚)

僭越ながら、Sp●tify、ひび割れたiphoneSE2と耳垢だらけのAirPodsという環境で拝聴した感想を全曲出鱈目に述べさせていただきます。

当方、音楽用語や理論は不得手、また国語力に至っても貧弱な為、お見苦しい点が多々ございます。あらかじめ、ご承知おきください。

また、作品のネタバレを含むため未聴の方はご注意下さい。


1.残像のブーケ

ダブルに重ねた声が柔らかに響き合う。

ヴォーカルとギターとピアノだけのシンプルな構成だからこそ、緻密なアレンジが聴き込める。

大森さんからの花束、確かに受け取りました。

いってきます!


2.ぼくの愛する暮らし (album mix)

目前が開き一条の光に導かれるような高揚感。

このハモンドオルガンのコードを嫌う人はいないだろう。

しかし、歌が始まると内省した歌詞に定石を覆され、不安を覚える。

ハッと我に返る、もしくは想像してほしい。

「あぁ、ぼくらは30歳でも、バイク乗りでもなかったんだ。」と。

最後の自由と青春を謳ったあの歌を経て、大森さんは生活を歌う。

歌詞でいうと”肩を落として息を吐く〜”から打ち込み要素が加わり、逆回転の音でリズムを構築したパートがある。

それは、可愛い子どもの寝顔を思い浮かべることで収束、元通りに戻っていくのだが…。

いや、大人に幼稚な考察は無粋だ。覚悟を決めた父親の横顔が眩しい。それでいいじゃないか。


3.メランコリー

英国風ソフトサイケ・マナーに則した隙のないアレンジに当たり前が当たり前じゃないことを知る。

ペイズリー柄のベールが降ろされた曇天の空の下、調子はずれの笛の旋律に妖精が踊る。

エレピのフレーズは発明。イルガチェフェは要検索だ。

からっぽとは換言すれば空ということ。劣等感は無用だ。


4.boys & girls (album mix)

世間的にはこの曲がリード曲となるのだろうか?

なる?ならない?なればいい。いや、なるでしょ!

2022年春アニメのオープニング曲にもなってますか?

なってない?ん、なってる?いや、なれ!

エレクトロ・ポップには疎いため、楽曲解説めいたことはできません。

でも「大森元気はこういう曲も作れるんですよ」と北鎌倉駅のホームで横須賀線を待つ原節子さんに耳打ちしたい。


5.恋は終わってしまった

オープンハイハットのカウントからのギターイントロに古参の残像ファンは歓喜する。

サビのハーモニーを追って間奏の激情に、ほくそ笑む。安心安定の元気印。

そして、恋の終わりへと向かう曲に肩を落とした束の間の転調。

終わらないで!100番まで歌って!篠島の「人間なんて」のように!夜明けまで恋の終りを叫んで元気!

祭りのあとの寂寥感はいつの時代も様になるものだ。


6.群青色

重厚なピアノとオルガン、わたしが共感覚の持ち主でなくとも見える暗い日曜日の陰鬱。

並のミュージシャンならプロコル歌謡、それ以下なら模倣の模倣になりかねない。

それを避けるようなコード進行や、ギミック的な細かなアレンジの効果もあるにはあると思う。

しかし、この曲の芯に宿る圧倒的な凄み、言語化不能のそれが他に類を見ない強度を与えている。

研鑽を重ねた結果、昇華され顕現した何か。大森さんはこの曲の創造にあたり、その何かに触れたはずだ。


7.涙が出ちゃうよ

全12曲の本作品はこの曲が折り返し地点、レコードならB面の1曲目となるだろう。

アウトロ・セッションからのメドレーでフェードインする演出にニヤりとされた方も多いのでは?

感染病が蔓延する以前のライブハウスの往時を思い起こし、懐かしんだかもしれない。

これまで辛酸を舐めさせられたミュージシャンたちの逆襲がはじまる。

おわりのはじまりを宣誓するに相応しい曲だ。


8.恋のはじめの夜の長さよ

フィンガースタイルの弾き語り作品。アコースティックギターの音が心地よい。

個人的には先日鬼籍に入られた中川イサトさんの初期作品を彷彿とさせられ感傷に浸ってしまった。

大森作品から零れ落ちる、掬っても掬いきれない、意図せぬ過剰なセンチメンタリズム。

センチメンタリストの異名も持つ男の面目躍如。脱帽である。


9.サクラサク

古い友人から手紙が届く。

東京での日常や近況が綴られた手紙だ。

寄り添う言葉に嘘がない。嘘がないから読んでいて素直になれる。

アルバムに必要不可欠な素敵な小品だ。


10.ブランケット・ブルース

場面は一転、雨の日の午後。

ソファーでまどろんでいると恋人がブランケットをそっとかけてくれたような気がした。

ゆっくりと足元に敷き詰められていくメロトロンがそんな情景を想起させる。

主人公はだんだんと深い英国プログレッシグ・ロックの森に迷い込んでいく。

夢か現か、飛び交うギターノイズとレスリースピーカーから渦巻くオルガンの音に酔いしれてほしい。


11.リフレイン

ディラン〜拓郎から連綿と伝わる王道の路線に乗って急行するストリング・ベンダーのフレーズ。

始発から何本かやり過ごした後に乗り込んだ列車は、昔の恋を経由した吉祥寺行きのはず。

暗喩に満ちた往来にぼくらはすれ違う。手を伸ばせば伸ばすほど遠ざかっていくのが残像だった。


12.旅するように歌うのだ

大森元気の決意表明。

(これからもぼくは)旅するように歌うのだ。

「のだ」が良い。「んだ」でも良いところの「のだ」。

終わりよければ全てよし。シェイクスピアは未読なぼくらの赤塚イズム。

1、2、3。1、2、3。ペダルスチール、マンドリン、スネアのゴースト。

アコーディオンから大団円へと向かうコーラスに昇天しかける。

大森さんの宗教観も窺い知れそうなカントリーロックの仮面を被った讃美歌で終幕。

これでいいのだ。


-あとがき-

久方ぶりに大森さんから連絡をいただき、久方ぶりの新作を拝聴させていただきました。

左の親指で曲を押し進めるとiphoneのスピーカーから名曲しか流れてこないので、これは全曲感想を伝えて嫌がらせをしてやろうと思い立ちました。

イントロへの所感が多いのは音楽の環境変化に聴き方も変化したからかもしれません。

些末な日常に忙殺され忘れがちですけど、なんだかんだいって20年選手ですからね。そりゃ色々と変わりますよね。

世界も激変の真っ只中で、これからどうなってしまうんだろう。

先行きが見えない不安を抱えて、みんな言葉にはしないけど、息苦しいよねって慰め合いたいです。

この数年間に奪われて気づいた最低限の生活に必要のないものの大切さ。

ここだけの話、音楽って、けっこー重要ですよね。

日常と未来に光を照らす素晴らしい作品をありがとうございます。

それでは、また。どうかお元気で。


相子鳶魚 (作詞家、ex.モノノフルーツ)

 新着あり次第追加でご紹介します。


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